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結婚後の新居は賃貸か購入か?マイホームを買うならいつ?

カップルが結婚を決めた際、重要な議題になるのが住まいをどうするのかということです。「どうせ買うなら早い方が得」「今の時代、家を買うのは損だ」「とりあえず賃貸で心の準備がしたい」「老後も安心して暮らすためには持ち家が欲しい」などなど、様々な考えがあります。今回の記事では、賃貸と購入の二つの選択について、結婚後の住まいという観点から一般的に想定されるメリット・デメリットを解説し、マイホームを購入するタイミングについて考えていきます。自分たちのライフスタイルや人生設計と照らし合わせながら見ていきましょう。

賃貸のメリット

まずは賃貸物件に住むメリットを見ていきましょう。

メリット①初期費用が安い

部屋を借りて生活をはじめるときには、様々な初期費用が必要になります。

・敷金…契約を終えて部屋を退去するときの原状回復費用。家賃1カ月分。 ・礼金…部屋を所有する大家に対してお礼の意味で支払う一回限りの料金。家賃1カ月分。 ・前家賃…入居する月の家賃の前払い。家賃1カ月分。 ・仲介手数料…物件の紹介や契約手続きを行った不動産会社への支払い。家賃0.5カ月~1カ月分+消費税。 ・火災保険料…火災や水漏れトラブルなどに備えた損害保険料。1.5万円~2万円程度。

これらを合計すると、部屋を借りるときの初期費用は家賃の4~5倍程度になるでしょう。一方、家を購入するときの初期費用はこれの比ではありません。

・頭金…住宅価格のうち、自己資金で支払う分の購入代金 ・印紙税…契約書に貼る印紙代。 ・登記費用…土地・建物の権利関係を登記簿に記載する際にかかる登録免許税、司法書士への手数料 ・住宅ローン借入費用…金融機関に支払う融資手数料、保証会社に支払うローン保証料、団体信用生命保険(団信)の保険料 ・不動産取得税…土地や建物を買うときに一度だけかかる税金 ・固定資産税…土地や建物の所有者に市町村(東京23区は東京都)が毎年課税する税金 ・仲介手数料 ・火災保険料、地震保険料

こうした諸費用の総額は、新築マンションなら物件価格の3~5%建売住宅や中古住宅なら6~8%注文住宅なら10~12%となります。賃貸は、購入に比べて、圧倒的に初期費用が安く抑えられることがお分かりいただけるでしょう。

メリット②地域を選びやすい

初期費用が安いということは、家賃の高さによって物件をあきらめざるを得ないケースが少なくなるということでもあります。購入の場合、地域によって価格差が大きくそれによって初期費用も大きく変わるため、特に都心部の物件は手が出しづらいです。しかし賃貸であれば、ある程度物件数が多く初期費用も安いため、都心の物件でも予算内で見つかる可能性があります。

メリット③入居までの手続きがスムーズ

物件探しから入居までの流れを比べてみましょう。賃貸であれば、内見→申し込み→入居審査→契約→入居と非常にシンプル。入居審査も購入に比べれば簡単ですし、契約に必要な手続きは賃貸借契約書への署名捺印くらいなので、申込をしてから早ければ一週間で入居できるようになります。 一方、購入の場合、申し込み→住宅ローン事前審査→契約→住宅ローン申し込み→ローン契約→内覧チェック→残金決済→入居と、住宅ローンが絡んでくるためプロセスが複雑になり、確認すべき重要事項も膨大です。申込から入居までには1ヶ月以上かかるのが一般的でしょう。したがって、物件を決めてから入居までのプロセスがスピーディなのは圧倒的に賃貸です。そのため、転勤が多い職に就いている世帯では、持ち家ではなく住み替えしやすい賃貸住宅に住んでいるケースが多いです。

メリット④維持費が安い

続いて維持費で比べてみた場合はどうでしょうか。賃貸物件にかかる維持費としては、月々の家賃、共益費・管理費、数年に一度の物件更新料、駐車場(駐輪場)代、各種保険料などが挙げられます。一方で物件購入した際にかかる維持費としては、月々のローン、固定資産税、都市計画税、各種保険料などが挙げられます。両者を比べてみると、持ち家にかかる維持費のほうが大きいです。 さらに分かりやすい違いは修繕費用です。賃貸の場合、経年劣化による外装・内装・設備等の修繕費用は入居者に責任がないほとんどの場合には全て大家が負担しますが、持ち家なら、外壁の塗装や屋根の修理、クロスの張り替え、水回りの設備交換、敷地内の手入れなどすべて自分でやらなければなりません。修繕を行う時期や箇所によっては修繕費用が数十万円~数百万円規模になる可能性もあります。したがって、維持費で比べた場合にも賃貸に軍配が上がります。 初期費用が安い、選びやすい、引っ越ししやすい、維持費が安い……このように、賃貸は購入と比べて気軽に住み始められ、生活の変化に応じて柔軟に対応できるのが大きなメリットと言えるでしょう。

購入のメリット

続いて、購入することのメリットを見ていきましょう。

メリット①自分の資産になる

物件を購入する最大のメリットは、家と土地という価値ある資産を手にいれられること。家を持っていることは社会的信用にもつながりますし、ローンの返済が終われば、固定資産税や管理費をのぞいて家賃の支払いがないので安心して老後も住まうことができます。借主に万が一のことがあった場合のリスクケアも魅力です。賃貸の場合、遺族は収入が減った分、安い家賃の家に住み替えを検討することになります。一方、購入であれば、団体信用生命保険(団信)に加入することで、契約者に万が一のことがあっても団信によってローンが完済され遺族は同じ家に住み続けることが出来るのです。 頭金や仲介手数料などの膨大な初期費用、高い維持費などの金銭的なデメリットはありますが、月々の家賃支払いと住宅ローンの返済を同額程度で換算すると、資産を保有できる観点からして、住宅ローンの方がメリットがあるという考え方もできます。親子代々、長期に渡ってそこに住み続けることを考えれば、どれだけ家賃を支払い続けても自分の資産になることのない賃貸よりもコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。「夢のマイホーム」という言葉があるように、多くの方にとって持ち家が憧れであることにはこうした事情があります。

メリット②自由にリフォームできる

賃貸はあくまで借り物である以上、退去する際に原状回復できないようなリフォームはできません。一方、持ち家は自分の資産ですから、好みの内装にしたり、将来を見越してバリアフリー仕様にしたり、二世帯住宅に建て替えたり、ビルトインガレージを作ったりなど、自由にリフォームが可能です。注文住宅であれば、自分のライフスタイルや家族構成、こだわりをふまえて一から家の設計を考えることもできます。同じ外観、同じ間取りの賃貸とは違った、オリジナリティのあるマイホームが実現します。

メリット③物件の質が高い

基本的に、賃貸物件はコストを抑えるために間取りも設備も量産品であるケースが一般的です。それに比べると、一戸建てや分譲マンションのほうが、間取りや設備、構造などあらゆる点で物件としての質がワンランク上です。同じエリアで同程度の家賃なら、賃貸物件よりも分譲物件のほうがいい条件の場所に住めると言われているくらいです。新築住宅であればなおさら、最新の建築技術による高い耐震性や省エネ性を備えた物件が多く、耐久性も高まっているので、安心して生涯の住まいにできることでしょう。

マイホームを買うタイミングは?

賃貸と購入、それぞれのメリットを見ていきました。一般的に、家を買う大きなタイミングは「結婚したとき」か「子供が生まれたとき」の二つと言われています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

結婚と同時に家を買う

結婚と同時に家を買うメリットは、賃貸にかけるお金を節約し、早い時期にローンを完済できる点です。いずれ自分の家を持つつもりでいるなら、初めから購入してしまった方が初期費用や家具・家電の買い直しといった出費も節約できます。賃貸の家賃をローン返済に充てることが出来るため、無駄がありません。 ただし、一度買ってしまうと簡単には手放せないので、夫婦のライフスタイルがまだ確立していない結婚初期に家を買うことはリスキーでもあります。たとえば離婚をしてしまったとき(結婚後2年~5年の期間が最も離婚のリスクが高いと言われています)には売却や権利関係などの問題が大変ですし、転勤や転職で職場が遠くなったり、子どもの人数が予定と変わったり、親と一緒に暮らすことになったりなどのイレギュラーが起きたときには、別の物件に引っ越したりなどの融通が利きません。購入に踏み切るには勢いも必要かもしれませんが、購入した後の家計をきちんとシミュレーションをしておくことも大事です。

結婚後しばらくしてから家を買う

新郎新婦 結婚当初は賃貸で生活して、貯蓄をしたり、ライフスタイルを確立させてからマイホームを購入するという選択です。賃貸暮らしを経由することで、お互いの生活のイメージが具体的に分かっているため、物件に必要な条件・設備をより正確に検討することが出来ます。例えば日当たりが良くなかったから日当たりがいい立地を条件に入れる、収納はいくらあっても足りないので収納重視にするなど、賃貸暮らしで不満に感じたところを改善できるため、いきなり購入するよりも二人の生活に適した物件を手に入れやすいでしょう。 デメリットとしては、いずれ持ち家を手に入れることを想定すると、家賃や家具といった経済的な面でのロスが生じること。賃貸暮らしの間に貯蓄を蓄えることが出来れば、頭金にお金を投入して、住宅ローンの借り入れを少なくできるかもしれません。しかし、家賃の支払いもローンの返済も月々の金額でみるとそこまで差はありません。人によってはなかなか貯蓄が出来ず、結果的に「もっと早くに決断すればよかった」となるパターンもあるようです。いずれ購入するつもりでいるのなら、無為に先延ばしにするのは損になる場合が考えられます。また、通学中の子供がいる場合、転校させたくなければ同じ学区内の物件に限られるため、選べる土地の範囲が狭まってしまうこともあります。

みんなはいつごろ家を買っているのか?

家を買う二つのタイミングについて見ていきました。それでは実際、日本人はいつ頃マイホームを購入しているのでしょうか? 国土交通省が毎年発表している「住宅市場動向調査報告書(2019年度版)」から、世帯主の年齢を見てみましょう。 注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンションでは 「30 歳代」が最も多く40~45パーセント、「40歳代」がおよそ25パーセントを占めています。中古戸建住宅、中古マンションは「30歳代」「40歳代」ともにおよそ30パーセント。一方、民間賃貸住宅では「30 歳未満」が3割、「30歳代」が3割と若年層の割合が高いです。やはり、子供がある程度育ち、収入が安定する30代から40代にかけて多くの人が住宅ローンに踏み切っていることが分かります。「結婚後すぐはとりあえず賃貸で、お金が貯まったらいずれマイホームを購入」というプランが一般的なようです。これからの推移をみると、最近の20~30代は大学の奨学金返済が残っているケースや、特に持ち家にこだわらないという層も増えているため、持ち家を購入するタイミングはより遅くなる可能性があります。

二人の人生設計を踏まえて

以上、賃貸と購入の二つの選択について比較してきました。どちらもメリット・デメリットがあり、それぞれの価値観やライフプランによって正しい判断が変わってくるということです。仕事か、趣味か、お金か、子供か。どのような優先順位にするのか、検討材料をそろえて、二人でじっくり話し合って考えましょう。
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