席次表とは、披露宴会場のレイアウトや、出席者の席の位置がわかるように図にしたもの。業者に委託する場合と、自分たちで制作する場合の二つが考えられますが、今回は自作したい!という方向けにお役立ち情報をお届けしていきます。
最近のオリジナル席次表では、座席の案内だけではなく、ゲストの紹介を兼ねたり、新郎新婦のプロフィールを載せたり、面白いデザインにしたりと、ゲストを楽しませるための工夫を凝らしたものも多いです。それだけに、何を絶対に載せなければならないのか、内容に悩んだり、作り方に戸惑ったりすることもあるでしょう。そこで、座席表を作る流れを手順ごとに詳しく見ていきましょう。
①デザインを考える
席次表を作るにはまず、デザインを決めます。白無地の紙に黒の文字で席次が書かれているだけでは華やかさに欠けてしまいますね。カラーリングやフォントに工夫を凝らして、オリジナルなデザインを目指したいところです。
二人の思い出の写真を背景に入れるだけでにぎやかな席次表になりますし、結婚式を挙げる季節の花や、二人が好きな花を押し花にして貼ったり、二人のイニシャルが入った自作のロゴマークを入れるのもいいでしょう。
形式については、三つ折りのものにしたり、パンフレット形式や、プロフィールブック形式にするものが最近のトレンドです。奇抜なところでは、表紙を通知表の「あゆみ」、中身を黒板風のデザインにした学生風のものや、二人のニュースを報道する新聞風、ファッション誌や週刊誌を参考に各ページをパロディデザインで仕上げたものも。
ほかには席次表をくるくる巻き、リボンやクラフト用の紐、タッセル(ショールなどの縁につけられる房飾りのこと)で結んだ巻物風など、様々なアイディアがあります。Instagramでタグ検索して色んなデザインのものをのぞいてみると、参考になりますよ!
多くのカップルは披露宴の3ヶ月前にはデザインを考え始めています。なぜかというと、招待状と同じペーパーデザインにしたいというカップルが、招待状とあわせて席次表のデザインも同時に決めてしまうからですね。招待状をゲストに送るのが挙式の約2〜3ヶ月前なので、招待状のデザインを決めるのは、挙式の3〜4ヶ月前になるのが自然です。
②ゲストの配席を決める
デザインを決め、招待状を送った後。挙式1ヶ月前ぐらいには、招待状に同封した返信はがきから出欠を確認し、配席を決定します。逆に言えば、挙式1ヶ月前までには招待状の返事を出してもらうようにする必要がありますね。
配席のレイアウトを作る際に気をつけなければならないのが、肩書きです。出席するゲストが新郎新婦とどのような関係なのか、他のゲストにも分かるように、肩書きも明記するのですが、これに間違いがあってはいけませんし、書き方や敬称に失礼があってもいけません。
名前には基本的に「様」をつけますが、父母や同居している兄弟姉妹、祖父母にはつけません。しかし、結婚している兄弟姉妹とその配偶者には「様」をつける場合があります。また、子どもは、小学生までは「くん」「ちゃん」、それ以上には「様」をつけるのが一般的です。親戚の肩書きは、両家で相談をし、統一しておきましょう。
会社の知り合いについてですが、会社名と部署、役職名を入れるのが基本です。複数の肩書きがある場合は最上級の肩書きを入れます。 敬称については、仕事関係の先輩は「先輩」、同僚や後輩は「同僚」とします。ゲストが退職している場合は「元職名」と記します。 他社に転職した場合は、「現職名」と「元職名」どちらでも問題はありません。
ゲストの名前には肩書きを付すのが一般的ではありますが、ややフォーマルに偏った印象になりますし、友人に肩書きをつけるのもなんだか違和感があるかもしれません。カジュアルな結婚式にしたいという場合には、あえて肩書きを記さないケースもあります。ゲストが友人主体で、カジュアルに振り切るなら、肩書きと一緒にゲストに合わせて考えたキャッチフレーズをつけてみる(「驚異の美肌の持ち主」「こう見えて超甘党」「学生時代は貴公子と呼ばれた男」など)と、盛り上がるかもしれません。
③ゲストの席次を決める
ゲストの名前や肩書きが確認できたら、次はゲストの席次を決定します。
ここで覚えておきたいのが、披露宴でふたりが座る席を高砂席(たかさごせき)ということ。この由来は、昔、和風婚礼の際に謡われていた、兵庫県の高砂を舞台にした能からきています。
高砂やこの浦舟に帆を上げて/月もろともに出潮(いでしお)の/波の淡路の島影や/遠く鳴尾の沖過ぎて/はやすみのえに着きにけり
この謡は、高砂から淡路島、そして鳴尾浜、最後に住吉という道行を謡っています。九州から高砂に渡った神官はある老夫婦に出会います。遠く離れている高砂の松と住吉の松は「相生の松」と呼ばれ、夫婦が長寿で仲睦まじく生活するめでたさを祝福しているのだと教えられます。そこで神官は、船に乗って住吉へと旅をするとき、このことを思い出してこの謡を歌うのです。披露宴の席で新郎新婦が座る席の名前が、夫婦の長寿を願う歌から由来しているのは納得ですね。
当時の高砂はゲストより一段高く、金屏風をバックに作られていましたが、最近ではゲストと近い距離でおもてなししたい新郎新婦が多くなり、そのスタイルもさまざまです。
席次決めの話に戻りましょう。高砂席に最も近い位置が「上座」、最も遠い席が「下座」となり、上座から順番に、主賓→会社や職場の上司、学生時代の恩師→会社や職場、学生時代の先輩→友人・同僚→後輩→親戚→両親の順になります。
新郎新婦の両親はゲストをもてなす側なので、最も下座に座ります。また、高砂席に向かって左側が新郎席になり、右側が新婦席となり、それぞれの親族知人の席もそのように配置されます。妊婦の方や子ども連れ、高齢のゲストは、スムーズに席を立てる位置にした方がいいですね。
④その他の項目を決める
座席図が確定したら、それ以外に載せる内容も決めていきましょう。座席図以外に何を載せるかは、カップルによってさまざま。自分たちで席次表を作るなら、自由に内容を決められます。席次表の本来の役割は、披露宴会場のゲストの座席案内と、出席するゲストの紹介のみですが、最近では、ゲストの方に席次表を楽しんで見てもらうために、オリジナリティ溢れる項目を載せているカップルも多いです。どのようなものがあるのか見ていきましょう。
まずはプロフィールですね。お互いの情報を載せることで、自分の友人や家族に結婚相手の人となりを知ってもらえますし、同時に、相手のお友達や親戚に自分のことを知ってもらうことにもなります。実際、披露宴を行ったカップルの約7割が、席次表にふたりのプロフィールを載せています。
プロフィールの項目としては、二人の生年月日、血液型、出身地、職業、趣味、好きな食べ物やチャームポイントなどの基本情報のほか、「お互いの好きなところ」「思い出のエピソード」「プロポーズの言葉」「子供は何人欲しいか」といった変わり種を入れるのも楽しそうですね。
あとは、新郎新婦からゲストに向けた、お礼のご挨拶です。式場に足を運んでくれたことと、普段お世話になっていることへの感謝を伝えるのも良いアイディアです。ただし、文章を書く場合、縁起の悪い言葉や忌み語は入れないように気をつけましょう。また、料理のメニュー表や式次第(挙式や披露宴のプログラム)、新居のご案内などを盛り込むカップルもいます。
⑤印刷、飾り付け
席次表の内容が確定したら、いよいよ印刷です。この作業が結婚式当日の1、2週間前に終えられると安心ですね。紙の素材は、普通のコピー用紙では味気ないということで、インターネット通販や雑貨店、ペーパー専門店で購入したというカップルもいます。
また、紙の大きさも大事で、紙のサイズが適切でないと、文字が読みづらかったり、余計にかさばったりします。内容量にもよりますが、A4〜A3サイズがいいでしょう。席次表が印刷できたら、リボンや紐で結んで留めたり、タグをつけたりして飾り付けすると、新たなオリジナリティが付加されます。
席次表は必ずしも作らなくてもいい?
ここまで、席次表を作る手順を見てきましたが、手順や考えることが意外に多いと驚きになった方もいるかもしれません。席次表の内容を吟味する時間がないという方は、結婚式場が提携している業者や、式場とは別の外部業者に作成してもらうといいかもしれません。
作業を全て任せられるので、席次表に時間を割けない場合に有力です。デメリットとしては、自作よりも費用がかかることと、いくつかのテンプレートの中から選ぶことになるので、デザインのこだわりに限界があることです。
また、制作する費用に余裕がなければ、簡素なものにも出来ます。しかし、手を抜いて作るくらいなら、いっそのこと席次表を作らないという選択もあります。最近では、席次表を作る代わりに、披露宴の受付で、ゲストの名前と座るテーブルの名前が書かれた短冊状のカード(エスコートカード)を渡す場合も増えています。
海外や欧米ではこのスタイルが一般的です。この方法なら自分の座る席を案内でき、席次表を作るほどの費用もかかりません。また、結婚式に出席する人数が少なく、そんなにテーブルが多くない場合には、そもそも席次表を作る必要がないこともあり得ます。