結婚式の開催時間は、新郎新婦だけでなく、ゲストの行動も左右します。大切なイベントである以上、誰にとっても無理のない、負担をしいらない時間設定をしたいものです。
そこで今回は、「そもそも結婚式、披露宴の流れってどうなってるの?どのくらい時間がかかるの?」という方のために、結婚式の流れと所要時間をスタイル別に確認します。それから後半は、結婚式の開始時間を朝、昼、夜に設定したスケジュール表を確認し、それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。
結婚式の流れと所要時間
日本で行われる結婚式のスタイルには主に、西洋風の教会式と、和風の神前式と、比較的自由なスタイルの人前式と三つがあります。それぞれの流れを見ていきましょう。
教会結婚式
①オルガン演奏が始まり、新婦とその父が後方から入場する。
②聖歌隊によって賛美歌が斉唱され、挙式開始の宣言が行われる。
③神父の前で、新郎新婦がイエス・キリストに永遠の愛を誓う。
④新郎新婦が指輪を交換する。
⑤新郎新婦が結婚証明書へ署名をする。
⑥新郎新婦がユニティーキャンドルに点火する。
⑦新郎新婦が誓いのキスをする
⑧新郎新婦が参列者に見守られながら退場する。ここで場合によってはライスシャワーやブーケトス、記念撮影がある。
神前結婚式
①新郎新婦が同時に入場。続いて、神官が入場。
②修祓(しゅばつ) という、お祓いの儀式が行われる。
③神官が祝詞(のりと)を奏上する。
④三婚の儀という、三三九度の盃の儀式が行われる。
⑤新郎新婦が神主の前で誓詞を参上し、日本古来の八百万の神々にとこしえの愛を誓う。
⑥新郎新婦が指輪を交換する。
⑦新郎新婦が神前に玉串を奉奠(ほうてん)する。
⑧媒酌人が神前に玉串を奉奠(ほうてん)する。
⑨新郎新婦を通し新しく親族となる人たちが、盃を酌み交わす。
⑩神官が退場する。続いて、新郎新婦が退場する。
人前結婚式
人前結婚式では、永遠の愛を神ではなく、親族や友人、知人などの参列者に対して誓います。したがって結婚の証人も、神父や神主ではなく参列者となり、式の司会は披露宴の司会者が兼任することが多いです。
最近はこのような、従来の宗教的儀式や伝統的しきたりにとらわれない、新しい形式で結婚式を挙げるケースも増えており、そうした形式を人前結婚式(シビル・ウエディング)と呼びます。従来の形式に則っていないため、式次第にこれといって決まった形はありませんが、基本的な流れは教会式や神前式と同じです。ここでは代表的な一例を挙げておきます。
①参列者が入場する。参列者は会場に入る際、結婚の証人として受付で結婚証明書にサインをする。
②新郎新婦が入場する。
③司会者により開式宣言がされる。
④新郎新婦が、参列者の前で、事前に用意していたオリジナルの誓いの言葉を読み上げる。
⑤新郎新婦が指輪を交換する。
⑥新郎新婦と列席者代表の証人が、結婚誓約書(結婚証明書)または婚姻届に署名捺印する。
⑦司会者が結婚誓約書(結婚証明書)または婚姻届を列席者に見せ、新郎新婦の結婚が成立したことを宣言する。
⑧司会者により閉式宣言がされる。
⑨新郎新婦が退場する。ここで場合によっては教会式と同様、フラワーシャワーやブーケトス、記念撮影がある。
三つのスタイルの流れを見てきました。どれも項目が多いように思われますが、意外とさくさく行われ、どのスタイルでも30分程度で終わります。
披露宴の流れと所要時間
宗教的色彩の強い「儀式」としての結婚式に対し、披露宴はそれに付随する「宴」であり、結婚式のような決まった形はありません。特に最近は、オリジナリティのある演出を大事にするカップルも多く、様々な披露宴がありますが、ここでは一般的な披露宴の流れの一例を紹介します。
披露宴前半
①ゲストが入場。会場入口で両家の両親、仲人夫妻が出迎える。
②新郎新婦が入場。
③開宴の辞。司会者が結婚披露宴の開始を宣言する。
④主賓による祝辞。新郎側、新婦側の順でスピーチする。その後、主賓の発声により、新郎新婦とゲストが起立して乾杯をする。
⑤ケーキ入刀。長大な刃渡りのナイフを新婦が両手で握り、新郎が右手を添え、一緒に入刀する。
⑥新郎新婦がお色直しで退場する。歓談タイムへ。
披露宴後半
①お色直しを終えた新郎新婦が再入場する。多くの場合、各テーブルを巡回し、挨拶をしながらキャンドルサービスをする。
③ゲストによる余興が行われる。スピーチや、映像演出、ダンス、ネタ、歌や演奏などが主流。海外ではゲストと新郎新婦を交えたゲームをすることもある。
④新婦から両親に宛てた手紙が読まれる。新郎がマイクを持って新婦に向け、新婦の両親は下座に並び、新婦の手紙を涙ぐんで聞く。
⑤手紙を読み終わると、新郎新婦は両親がいる下座まで進み、新郎は新婦の両親へ、新婦は新郎の両親へ、花束を贈る。
⑥両家を代表し、新郎の父親がお礼と謝辞を述べる。
⑦司会者が結婚披露宴のお開きを告げる。
⑧新郎新婦と両親が退場する。続いて、ゲストが退場する。この時、新郎新婦と両親が出口でゲストを迎え、一人一人に挨拶する。
場合によって多少の省略はあり得ますが、基本的にはこのような流れになります。披露宴の所要時間は、前半が約45分、お色直しに退場してからの歓談タイムが30分、後半が約1時間15分で、合計およそ2時間半になるのが普通です。
結婚式の時間帯はいつがいいの?
結婚式当日、式が始まるまでにやることは新郎新婦もゲストも多いです。新郎新婦の当日の支度は、式が開始する三時間ほど前から始まりますが、ゲストの方も、移動の時間や、女性ならば美容院でヘアメイクを整える時間が必要なところです。結婚式を行う時間帯には、大きく分けて早朝、昼、夜の三つがあり、それぞれにメリットとデメリットがあるので見ていきましょう。
結婚式を昼に行う場合
挙式を14時スタートにすると、スケジュールはこうなります。
当日の支度 11:00〜
挙式 14:00~14:30
披露宴 15:00~17:30
二次会 19:00~
メリット
最も無理がない時間帯で、新郎新婦、ゲスト共に時間に余裕を持って準備できます。普段通りの時間に起き、無理のない時間帯に美容院でセットしてから式場に向かうことができます。披露宴を終えてもそこまで遅くならず、二次会を丁度いい時間に開くことができます。
デメリット
どのカップルにとってもやりやすい時間帯なので、人気が高く、希望の期日に予約できるか分かりません。また料金も高めに設定されている場合があります。とりわけ春や秋の大安といった、人気の「お日柄のよい日」には婚礼が集中しがちです。
結婚式を朝に行う場合
挙式を10時30分スタートにすると、スケジュールはこうなります。
当日の支度 7:30〜
挙式 10:30~11:00
披露宴 11:30~14:00
二次会 16:00~〜
メリット
「お祝いごとは日の出と共に行うのが吉」という伝統的な価値観があるため、お年寄りには「縁起がいい」と喜ばれるかもしれません。また、披露宴の時間がちょうどお昼ごはん時にあたるため、食事のリズムを崩すことなく、空腹になったゲストに婚礼料理をおいしく味わってもらえます。
もう一つは、挙式と結婚式だけ出席して二次会は参加しない人にとって、披露宴が午後の早い時間に終わるのは、夜から別の予定を入れることもできるのが嬉しいところ。特に遠方からのゲストからすれば、その日のうちに帰宅できるのはありがたいですね。
デメリット:新郎新婦はもちろん、ゲストも、朝早くから準備しなければならないこと。女性のゲストの場合は、美容院でヘアメイクをしてから会場に向かう人も多く、そういった方々に早起きを強いることになりますし、美容院が時間外料金になってしまうこともあります。
また、二次会まで参加してくれるゲストが、披露宴が終了してから二次会が始まるまでの時間を持て余してしまう可能性もあります。そして、遠方から出席してくれるゲストに前泊の必要が生じることも忘れてはいけません。前日が休みとなるように結婚式の日を日曜に設定するなどの調整が必要でしょう。
結婚式を夜に行う場合
挙式を10時30分スタートにすると、スケジュールはこうなります。
当日の支度 15:00〜
挙式 18:00~18:30
披露宴 19:00~21:30
二次会 23:30〜
メリット
大きな利点は、遅い時間帯ならではの非日常感、ロマンチックな雰囲気に包まれた結婚式ができることです。茜色に染まる夕暮れや、街灯がきらめく夜景、キャンドルや花火など、昼間の結婚式にはできない、夜ならではの演出が可能です。
また、平日に結婚式を挙げることを考えている場合は、遅い時間帯に始めることで、ゲストが仕事終わりに参加することができます。そして、選ぶカップルが最も少ない時間帯なので、料金が割安になる場合もあります。
デメリット
二次会を開く時間がたいへん遅くなり、日をまたぐことが前提になります。子供づれのゲストの参加は厳しいですし、そもそも二次会を開かない選択が自然かもしれません。もう一つは、場合によってはゲストが最寄りの終電や終バスに間に合わないかもしれず、帰りの交通機関の手配が必要なこと。
21:30に披露宴がお開きになるとすると、 ゲストが公共機関に移動するのに30分。帰宅は早くて23:00になるでしょう。高齢の方にとっては負担が大きいですね。
このように、どの時間帯でもそれぞれの利点、欠点があり、これといった正解は無いようです。主催者の都合だけではなく、ゲストに子供連れや年配の方、遠来の方はどのくらい来るのかといった、ゲストの視点に立つことも考えながら、無理のない時間設定をしたいですね。
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