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ウェディングケーキは「フランス人が考案し、イギリス人が育てた」 ウェディングケーキは「フランス人が考案し、イギリス人が育てた」と言われています。それはなぜかというと、事の始まりは17世紀。シャルル王朝に仕える一人のフランス人パティシエが、ロンドンを訪れました。そこで彼が見たものは、結婚式用に山積みされたスコーンの山。彼は思いました。「お菓子で山を作りたいなら、スコーンを積み上げるより、砂糖で固めて作った方が安定するのでは?」と。 彼のこの発想がもとになり、18世紀後半には、高い塔状に積み重ねられ、円形をしたバターケーキが結婚式に現れるようになりました。当時はラム酒に漬け込んだフルーツを生地に入れて、砂糖とアーモンドを挽いて練りあわせたマジパン(餡のような食感のある菓子)をかぶせ、仕上げにシュガーペーストでレース上の装飾を施したシュガーケーキが定番。砂糖でコーティングすることで、湿気を防いで長持ちし、参列できなかった人にも配ることができました。だいぶ今のものに近づいてきました。
フランスで生まれ、イギリスで発展したブライダルケーキ。これが世界に広まったのは、1858年に開かれたヴィクトリア女王の第一王女の結婚式でした。その際に用意されたのは、三段に積み重ねられ、バラと唐草模様の装飾に彩られたウェディングケーキ。今も昔もセレブの結婚式は民衆の注目の的で、週刊新聞で特集記事にこのウェディングケーキの挿絵が載り、世界的にその魅力と技法が知られることになりました。 ブライダルケーキの歴史を見てきたところで、現在のブライダルケーキにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。一般的にウェディングケーキといってイメージする、高い段で組まれたケーキがイギリス式です。どうしてこのような塔状になったのかは、先の項で確認しました。芸能人の結婚式などでは、ケーキの高さを競うかの様に、天井にまで届きそうな高いケーキも出てきますよね。 実は、それぞれの段には意味があります。一段目のケーキはパーティに来てくれたゲストのため、二段目は来れなかった人のため、そして三段目は新郎新婦と二人の子供のためという意味が込められています。本場イギリスでは、新郎新婦は結婚式で使ったウエディングケーキの最上段を持ち帰って保管し、第一子が生まれた日に食べる文化があります。
最近よく見られるようになったスクエア一段のケーキはアメリカ式と呼ばれます。高さが低いだけにトップの面積が広く、これを活かして、たくさんのフルーツを敷き詰めたり、シュガークラフトでキャラクターを作って世界観を演出したりと、新郎新婦の創意性が発揮されたケーキが多いですね。 イギリス式のように高く積み上げる必要もなく、フランス式のように複雑な形でもないので、多くの式場が採用している形です。ケーキ入刀をする場合にも、アメリカ式がやりやすくて見栄えもいいみたいですね。
フランスの伝統的なウエディングケーキのスタイルは、小さなシュークリームにカラメルをつけて円錐型に積み上げたもので、クロカンブッシュとも呼ばれます。 シュークリームは実はフランス発祥で、「chou à la crème」の「chou」はキャベツという意味なんです。積み上げたシューの数だけ新郎新婦が幸せになるとされ、限界まで高く積み上げるのが昔からの習わしです。ちなみに、カラメルがカチコチで堅いため、ケーキ入刀はナイフで切るのはなく、木槌で割って行います。 基本の三種類をご紹介しましたが、これは本当にベーシックな分類。一口にイギリス式といっても、今は色んなアイディアがあり、絶えず新しいスタイルが生まれ、デザインが非常に多様化していると言えます。 最近のトレンドを挙げると、ホワイトケーキの上に、食べられる金箔のデコレーションをほどこした金箔ケーキ。また、ロシア発祥の、鳥の尾羽のようなチョコレートパーツを乗せたブラッシュストロークケーキ。また、マーブルやジオードなど本物の鉱石に似せてデザインした、大理石ケーキなどがあります。 また、最近は、見映えのためのイミテーションのケーキと、ゲストのみんなに切り分けて食べてもらうための生ケーキの二つを用意している場合も増えています。 イミテーションケーキは、入刀のシーンが映えるように、また幸福や繁栄を願う意味で、高く積み上げられたイギリス式を採用し、実際に食べる生ケーキにはお好みでフランス式やアメリカ式を採用するというやり方もあります。西洋文化を広く浅くフレキシブルに享受する、これぞ日本式ですね!