日本の風潮として、新入社員の方の多くは、忘年会で芸をやらされることになります。「何をしたらいいんだろう?」と戸惑い、「面倒くさいな……」と思っているかもしれません。しかし、これは逆にチャンスとも言えます。宴会芸を披露し、見る人を楽しませ、場を盛り上げることが出来れば、上司の評価も上がり、可愛いあの子の目にとまるきっかけになるかもしれません。
そこで今回は、忘年会で披露できる一発芸を、ふとしたタイミングで隣の人に見せるような軽めのものから、みんなの前に出て行う本格的なものまで、九つ用意しました。基本的に準備が簡単で、一人で出来るものばかりなので、自宅で何度も練習できると思いますよ。それでは見ていきましょう。
マジック
宴会芸の定番といえば、マジックですね。
宙に浮くみかん
ハンドパワーのようにみかんを両手で包み込むと、みかんが手から離れて浮遊しているように見えるというマジック。しかしタネは簡単で、上の手の親指をみかんの裏側に突っ込んで固定しているだけなのです。横に回られるとすぐにタネが露呈するので、このマジックは披露する相手が正面にいないと成立しません。
このネタは定番すぎて、タネを知らない人の方が少ないでしょう。周りが冗談のつもりで披露してきた時に、自分だけ驚いていると恥をかいてしまうので、その意味で紹介しておきました。
マジック②貫通するマッチ棒
マッチ棒を二本使った簡単なマジックです。両手の人差し指と親指でマッチ棒をつまみ、トントンと何度か叩き合わせると、片方のマッチ棒が貫通して内側に入ってしまうというものです。
ここからは種明かしです。あらかじめ指を濡らしてマッチ棒を持つと、赤い薬品が溶け、その先端が指にくっつき、もう一方の指を離しても落ちない状態になります。
あとは、叩き合わせた時に指を少しだけ離し、その隙間からマッチ棒を通せば、あたかも貫通したかのように見えるというわけです。違和感なくすり抜けさせるにはコツがいるので、何度か練習が必要です。
マジック③水から氷を作る
カップに水を注いだら、氷になって出てくるというマジックです。氷と、少量の水、底の深いカップ、小さめのタオルが必要になります。下準備として、カップの底にタオルを敷き詰め、氷を入れておきます。
準備できたらあとは簡単。マジックを披露する相手に見えるように、カップの中に水を注ぎます。タオルに水が染み込むまで30秒ほど待ちます。この時間は、水が氷になるためのおまじないでも唱えて稼ぎましょう。
頃合いになったら、手のひらに向けてカップを逆さにします。すると出てくるのは水ではなく、水が凍ってできた氷というわけです。氷のかけらは大きめの方が、ゴロンと出てきたときに衝撃があります。マジックの仕掛けはシンプルな方が、びっくりさせられる好例ですね。
コーラ一気飲み
コーラを用意し、勢いよく飲むだけ。シンプルですが、やはり盛り上がります。成功すれば拍手喝采ですし、失敗しても笑いが取れるので結果オーライという、負けのない宴会芸。無理と思っている方でも、体格の大きな方はやってみると意外といけるかもしれません。タイムを計ってもいいですし、複数人を横に並べて、誰が一番早く飲み干せるかレース形式にしてもいいでしょう。
ボトルのサイズは、500mlが丁度いいでしょう。現在、コーラ500ml一気飲みの早飲みギネス記録は6.66秒と言われており(真偽は定かではありません)、水たまりボンドさんが挑戦した結果では5秒8という記録でした。この記録を打ち破れるでしょうか?
紙ナプキンで薔薇を作る
一枚の紙ナプキンで、一輪の薔薇の花を作る方法です。
①紙ナプキンの上部を4cmほど折り曲げます。
②紙ナプキン全体を、人差し指と中指で挟みながら、人差し指に強めに巻きつけます。
③巻きつけたら、その状態を固定しつつ、中指と薬指で挟みながら、中指にも巻きつけます。この時、人差し指に巻きつけた一周目とは少しずらして巻きつけるのがコツです。
④巻きつけたら、4cm折り曲げた部分を折り返します。
⑤紙ナプキンを指に巻きつけた下あたりから、紙ナプキンの余った部分を捻っていき、茎の部分を作ります。
⑥捻ったら、巻きつけた指を離し、巻いた部分を整え、薔薇の花っぽい形にします。
⑦紙ナプキンの下部分を茎に巻きつけるように折り返し、葉っぽい形にします。
⑧葉の付け根に当たる部分からまた捻って茎の先端を作り、花びらと葉を広げれば、薔薇の花の完成です!
テーブルクロス引き
テーブルクロス引きとは、その名の通り、お皿やグラスを落とすことなく、その下に敷いてあるテーブルクロスを素早く引き抜くという芸です。単純で受けやすい一発芸の定番ですが、実際に忘年会などで誰かがやっているのを見たことがある人は少ないのではないでしょうか。目の前で成功した時には結構な迫力があり、拍手がもらえることは確実です。難しいと思うかもしれませんが、実はコツさえ掴めば以外と簡単に習得できるんです。ポイントは二つ。
一つは、スピードを意識すること。全ての物には慣性の法則が働いているので、直接働きかけない限り、止まった物は止まったままの状態を維持します。よって、テーブルクロスをゆっくり引くと、食器はクロスの上に残ったまま一緒に動いてしまいますが、素早く引くことで、食器はテーブルに残り続け、テーブルクロスだけが引き抜かれることになるのです。
もう一つは、セットアップの段階で、テーブルクロスにしわが寄らないようにすること。しわがあると、テーブルクロスを引くときに食器がそれに引っかかって、倒れてしまう可能性があります。ですから、テーブルクロスはピンと張った状態で敷いて、その上に食器類を置きましょう。この二つのポイントを意識して何度か練習すれば、誰でも出来るようになるはずです。
ただし、本番では、安全性に気をつけましょう。テーブルクロスを引く際は、後ろに思いっきりのけ反ることになるので、あらかじめ周りに物がないか注意しましょう。また、ガラスや陶器など割れ物で挑戦すると、万が一失敗した時に破片が飛び散る恐れがあるのでリスキーです。もちろんその反面、成功した時の感動も大きいと言えますが。
二人羽織
羽織を肩から羽織った人の背後に、もう一人が後ろから袖を通します。後ろの人は当然前が見えないのですが、その状態で、前の人の手を演じ、様々な芸に挑戦するというもの。誰もが知っている古典的な宴会芸なので、世代を問わず楽しんでもらえます。
挑戦する芸としては、後ろの人が前の人に食べ物を食べさせるのが定番ですが、食べ物のチョイスが大事で、パンやおにぎりでは簡単過ぎます。ラーメンやスパゲッティなど麺類だと程よい難易度で、ソースが顔についたり、麺を口に運べなかったりして、笑いを取るポイントを色々仕掛けられます。他には、熱々のおでんや、生クリームたっぷりのケーキなども観客を楽しませやすいセレクトでしょう。
食べ物を食べさせる以外にも、手と顔がセットになった行為なら何でも芸にできます。例えば、後ろの人が前の人のメイクに挑戦するというもの。ファンデーション、チーク、口紅などを使って化粧を施すのですが(先端の尖ったアイテムは危険です)、当然うまくいくはずがなく、前の人の顔が落書き帳になっていく様を見て楽しませることができます。他には、整髪料を使って髪のセットにチャレンジしたり、リコーダーや鍵盤ハーモニカなど、楽器の演奏に挑んでみるのも面白いでしょう。
モノマネ
ものまねも受けやすい宴会芸です。
アキラ100パーセント
芸人「アキラ100パーセント」の持ちネタですが、飲み会では定番の「裸芸」ですね。全裸になり、タライで股間を隠しつつ動き回れば芸として成立するので、タライを超高速でひっくり返したり、二枚のタライを入れ替えたり、股間を隠した状態で歩き回って一人芝居をやったり、アイディア次第で色々できるでしょう。定番のBGMも用意できるといいですね。
裸芸は脱ぐだけでできるのでハードルが低く、見る側もする側もドキドキできるところが強みです。普段奥手キャラで通している新入社員が、恥ずかしぶりながらもしっかりと目は開いている姿を目撃できるかもしれません。しかしもちろん、タライの中身が実際に見えてしまうリスクもありますし、セクハラ認定されてしまうと社内での居場所もなくしかねないので、下ネタOKの職場なのか、やっても大丈夫な雰囲気の忘年会なのか、見極める必要があるでしょう。
ブルゾンちえみ
「35億」のフレーズで大ブレイクしたブルゾンちえみのネタ。一発屋かと思われた彼女ですが、まだテレビでは姿を見かけるので、2019年の忘年会の一発芸でも使えるでしょう。
忠実にモノマネするためのポイントはまず服装ですが、ブルゾンちえみの場合はタイトスカートを履いて、OL風の服装をすればそれらしく見えます。より大事なのはメイク。真っ赤な口紅を塗り、バブル期のキャリアウーマンを想起させるような、厚塗りのべったりとした化粧で臨みましょう。
そして絶対なのは男性二人、女性一人の組み合わせ。お局的ポジションの女性社員と、引き締まった身体の若手男性社員、または、新入りの女性社員と、年配の男性社員など、男性と女性とであえて年齢に差を受けた方が盛り上がるでしょう。三人の動きや、決めポーズはしっかり練習してバッチリ決められるようにしましょう。
セリフをアレンジしやすいのがこのモノマネの良いところ。掴みはブルゾンちえみの元ネタをそのまま起用し、盛り上がったところで社内で通用するあるあるネタを披露できるといいですね。
以上、九つの宴会芸でした。仕掛けはシンプルでも、上手く決まれば喝采を呼ぶものばかりです。是非とも家で練習して、みんなをアッと言わせて、上司の評価と、同僚の信頼と、あの子の視線を軒並みゲットしちゃいましょう!