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婚前契約とは?6つのメリットと作成手順を徹底解説!

婚前契約とは、結婚前に夫婦となる男女が、結婚後の生活や財産分与、離婚時の慰謝料などについて、書面で取り決めを行う契約です。日本では民法第755条で規定されており、公正証書による契約と私書面の契約の2種類があります。

婚前契約で決められる主な内容

婚前契約で決められる内容は基本的には自由ですが、以下のようなものが一般的です。

財産関係

  • 婚前財産の管理・処分: 結婚前の財産をどのように管理・処分するか
  • 共有財産の管理・処分: 結婚後に取得した財産をどのように管理・処分するか
  • 夫婦の収入・支出: 夫婦それぞれの収入と支出をどのように管理するか
  • 借金: 結婚後にどちらかが作った借金をどのように返済する
  • 相続: 夫婦それぞれの相続財産をどのように分配するか

離婚時の取り決め

  • 離婚原因: どちらが離婚原因となった場合に離婚できるか
  • 慰謝料: 離婚時にどちらかが支払う慰謝料の額
  • 財産分与: 離婚時に夫婦の財産をどのように分けるか
  • 子どもの養育費: 離婚後の子どもの養育費をどのように分担するか
  • 親権: 離婚後の子どもの親権をどちらが持つのか

その他

  • 夫婦の姓: 結婚後の姓をどちらにするか
  • 夫婦の居住地: 結婚後の居住
  • 家事育児の分担: 家事育児をどのように分担するか
  • ペットの飼育: ペットを飼育するかどうか、飼育する場合はどのように飼育するか
  • 介護・看取り: どちらかが介護・看取りが必要になった場合の対応
  • 夫婦間の円満解決のための方法: 夫婦間で問題が生じた場合の解決方法

婚前契約で決められない主な内容

婚前契約で決められる内容は全て自由ではなく、民法や公序良俗などに反する内容などは無効となります。

以下、婚前契約で具体的に決められない内容の例を詳しく説明します。

公序良俗に反する内容

  • 人身の自由や尊厳を侵害する内容: 一方の自由な意思決定を制限したり、身体的・精神的な苦痛を与えるような内容
  • 人権を侵害する内容: 人種、性別、宗教、性同一性など、個人の尊厳を傷つけるような差別的な内容
  • 社会秩序を乱す内容: 違法行為や犯罪行為を助長するような内容

一方が家事労働や育児を一切行わないことを約束する、一方が暴力や虐待を受けることを承諾する、一方が特定の宗教を信仰することを強制するなどがこれにあたります。

法令に違反する内容

  • 婚姻に関する法律に違反する内容: 重婚や近親相姦などの禁止事項に抵触する内容
  • 民法上の財産権に関する法律に違反する内容: 一方が一方の財産を自由に処分できる権利を放棄するような内容
  • その他、民法やその他の法律に違反する内容: 法律で定められた義務や権利を制限するような内容

結婚後も別姓を続けることを約束する、一方が一方の財産をすべて譲渡することを約束する、一方が離婚できないことを約束するなどがこれにあたります。

将来の不確定な事項

  • 将来の不確定な出来事を条件とする内容: 将来発生するかどうかわからない出来事を条件とする内容
  • 特定の個人の意思や行動に依存する内容: 特定の個人の意思や行動によって左右されるような内容

一方が宝くじに当選したらその賞金をどのように分配するかを定める、一方が政治家になったら特定の政策を推進することを約束する、一方が子どもを産んだらその子どもの養育費をどのように負担するかを定めるなどがこれにあたります。

一方的な不利益を与える内容

  • 一方的な義務を課す内容: 一方が一方にのみ義務を課し、不利益を与えるような内容
  • 一方的な権利を制限する内容: 一方が一方の権利を不当に制限するような内容

一方が一方の財産を自由に処分できない権利を放棄する、一方が一方の許可なしに仕事や住居を変えることができない権利を放棄するなどがこれにあたります。

その他

  • 曖昧な表現や解釈に誤解が生じる表現: 契約内容が曖昧で、解釈に誤解が生じる可能性がある内容
  • 履行が困難な内容: 契約内容を履行することが困難な内容
  • 将来変更が困難な内容: 将来の事情の変化に対応するため、変更が困難な内容

婚前契約の6つのメリット

婚前契約には、以下のような6つのメリットがあります。

1. 結婚後のトラブルを予防できる

婚前契約で、財産分与や離婚時の慰謝料などを事前に決めておくことで、結婚後にトラブルが発生するリスクを減らすことができます。特に、以下のような場合に有効です。

  • 財産状況が大きく異なる場合
  • 再婚する場合
  • 国際結婚する場合
  • 夫婦間で将来の生活設計について異なる考えを持っている場合

2. 夫婦間のコミュニケーションを深めることができる

婚前契約を作成するためには、夫婦間で将来の生活や財産について話し合う必要があり、その過程で互いの考えや価値観を理解することができます。これは、円満な夫婦生活を送るために非常に重要です。

3. 結婚生活の指針となる

婚前契約は、夫婦双方が合意した結婚生活の指針となります。結婚生活の中で迷いや問題が生じた際に、婚前契約を見返すことで、当初の約束を思い出し、解決の糸口を見つけることができます。

4. 将来の金銭的な不安を軽減できる

婚前契約で財産分与や離婚時の慰謝料などを決めておくことで、将来離婚することになった場合の金銭的な不安を軽減することができます。特に、以下のような場合に有効です。

  • 一方の方が大きな財産を持っている場合
  • 夫婦間で収入に大きな差がある場合
  • 子どもがいる場合

5. 相続に関するトラブルを回避できる

婚前契約で相続に関する事項も取り決めておくことで、将来相続に関するトラブルを回避することができます。特に、以下のような場合に有効です。

  • 再婚している場合
  • 連れ子がいる場合
  • 財産状況が複雑な場合

6. 万が一の時も円満な離婚を促進できる

婚前契約で離婚時の条件を事前に決めておくことで、離婚手続きがスムーズになり、円満な離婚を促進することができます。

婚前契約の6つのデメリット

婚前契約には、以下のような6つのデメリットがあります。

1. 契約の作成に時間とお金がかかる

婚前契約を作成するには、夫婦間で話し合いを重ね、内容をまとめる必要があります。また、公正証書による契約の場合は、公証人の手数料が必要となります。

2. 夫婦間の関係が悪化する可能性がある

婚前契約は、離婚や財産分与など、ネガティブな話題を事前に話し合うことになります。そのため、夫婦間で感情的な対立が生じ、関係が悪化する可能性があります。

3. 裁判所での判断が必要になる場合がある

私書面の婚前契約は、公正証書による契約と比べて法的効力が弱く、裁判所での判断が必要になる場合があります。

4. 将来の状況の変化に対応できない場合がある

婚前契約は、結婚当時の状況に基づいて作成されるため、将来の状況の変化に対応できない場合があります。

5. 夫婦間の愛情や信頼を損なう可能性がある

婚前契約は、金銭や財産に関する取り決めを優先することになり、夫婦間の愛情や信頼を損なう可能性があります。

6. すべての問題を解決できるわけではない

婚前契約は、夫婦間のすべての問題を解決できるわけではありません。人間関係のトラブルなどは、契約で解決できない場合があります。

婚前契約書を作成する際の5つの注意点

1. 契約内容を夫婦双方が納得いくものにする

婚前契約書は、夫婦双方が納得いく内容であることが1番重要です。契約内容について十分に話し合い、互いの意見を尊重しながら、双方が納得できる内容を検討して作成しましょう。

2. 契約内容を公序良俗に反しないものにする

前述した通り、婚前契約書の内容は、公序良俗に反しないものでなければなりません。人身の自由や尊厳を侵害するような内容、法令に違反するような内容は無効となります。

3. 契約内容を将来に変更できるものにする

婚前契約書は、将来の状況の変化に対応できるように、変更できる内容にしておくことが重要です。結婚後にライフスタイルや経済状況などが変化した場合、必要に応じて契約内容を変更できるようにしておきましょう。

4. 契約書は公正証書で作成する

私書面の婚前契約書は、公正証書による契約書と比べて法的効力が弱く、裁判所での判断が必要になる場合があります。そのため、婚前契約書は公正証書で作成することをおすすめします。公正証書は、作成手続きに時間がかかることや手数料が必要となりますが、法的効力が強く、何かあった際にも争いを予防する効果があります。

    5. 契約書作成前に弁護士に相談する

    婚前契約書は法律的な知識が必要となるため、作成前に弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、契約内容の合法性や妥当性をチェックし、夫婦双方が納得できる内容を作成するためのアドバイスをしてくれます。

    婚前契約書のおすすめな作成手順

    婚前契約書は、自分で作成することもできますが、弁護士に相談することをお勧めします。

    ステップ1:夫婦間で話し合い、内容を検討する

    まず、夫婦間で話し合いを行い、婚前契約書で決めたい内容を具体的に検討します。

    話し合いのポイント

    • お互いの希望や考えを尊重し、よく話し合う
    • 将来の生活を想定し、具体的な内容を検討する
    • 曖昧な表現は避け、明確な条項にする

    ステップ2:弁護士に相談する

    婚前契約書は法律的な知識が必要となるため、弁護士に相談するのが良いでしょう。

    弁護士選びのポイント

    • 婚前契約書に詳しい弁護士を選ぶ
    • 夫婦双方が話しやすい弁護士を選ぶ
    • 費用を明確にしている弁護士を選ぶ

      ステップ3:契約書の内容をまとめる

      話し合いの内容を踏まえ、婚前契約書の内容を具体的にまとめます。

      まとめる際のポイント

      • 具体的な内容にする: 抽象的な表現ではなく、具体的な内容を記載する
      • 漏れがないようにする: 決めたい内容はすべて記載する
      • わかりやすい文章にする: 専門用語は避け、わかりやすい文章にする
      • 弁護士作成のテンプレートなどを参考にする

      ステップ4:契約書を作成する

      契約書は、公正証書または私書面の2種類で作成できますが、公正証書での作成がベターです。

        ステップ5:署名・捺印する

        最終的に内容を確認し、夫婦双方が契約書に署名・捺印します。

        ステップ6:公正証書の場合は、公証役場で手続きを行う

        公正証書の場合は、公証役場で手続きを行う必要があります。内容にもよりますが、作成の費用は数万円程度です。

        必要な書類

        • 夫婦双方の本人確認書類
        • 住民票
        • 印鑑証明書
        • 婚前契約書

          ステップ7:契約書を保管する

          完成した契約書は、双方1部ずつ安全な場所で保管しておきましょう。

            婚前契約書は必要?

            婚前契約書は、必ずしも必要ではありません。しかし、結婚後のトラブルを防ぎたい、離婚時の財産分与をスムーズに行いたいと考えている場合は、作成することを検討してみるのも良いでしょう。最終的に婚前契約書を作成するかどうかは、夫婦間でよく話し合って決めることが大切です。

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